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第6回目のインタビューは、安曇野市の老舗、(株)山本組の代表取締役・山本由美子さんです。山本さんは女性部安曇野支部代表でもあり、会議や現場見学会などいつもご一緒させて頂いていますが、あらためて今日はいろいろお話を伺いにやってきました。

(株)山本組の代表取締役・山本由美子さん

--建設業にはいられたきっかけはご結婚してとのことでしたが。girl4

はい、結婚まえは歯科衛生士として働いていたのですが、ゴルフで主人と知り合って恋愛結婚をして建設業にはいりました。

--では、御趣味はゴルフですか?

ええ、でも今はガーデニングが楽しみですね。

--今頃はどんな花が咲いていますか?

この季節はスミレですね、それと最近は寄せ植えに凝っています。植木の剪定なども自分でやるんですよ。そう言って社長室の窓から見える庭に色とりどりの鉢植えを見せていただきました。

--代表になられたのはいつですか。girl5

主人が病気でなくなってからなので、13年になります。

--積算とか、入札とか大変だったのでは。

本当に何もわからないまま代表になったのですからね、でもまわりの社員の方がよっぽど大変だったのではないでしょうか(笑)うちの社員のみんなは技術もトップクラスだといつも思っていますが、そんなみんなに支えられやってこれたと思います。

--今ご家族は?

主人の母と、息子の3人家族です。息子はこの春大学に入学して現在は埼玉にいます。

--では、お姑さんとお二人?

はい、よく知らない人は自分の母親と思っている方もいます。

--女性が働くということは一般的に家庭との両立で大変だと考えられますが、ご主人を亡くされお姑さんと、まだ小さかった息子さんを抱え大変だったのでは。girl6

夜間の舗装工事の時に、夜間パトロールに出かけようとしたら小学校1年だった息子が泣き出して、それでも置いて出かけたのですが辛かったですね、それでも大きくなって、除雪やエンカル散布に出かけると時には「気をつけて、いってらしゃい」と送り出してくれるようになったのですが・・・高校3年の時に「お父さんが亡くなって、おじいさんが亡くなって、淋しかった時お母さんは仕事ばかりで悲しかったなー」と思い出したように言われたときはこたえましたね。

山本さんは少し淋しく笑ってお話をされていましたが。同じ働く母親として切ないお話でした。

--お忙しい毎日だと思いますが、一日の終わりの楽しみとかリフレッシュ方法はありますか。

それが365日いつも仕事の事が頭にあるので、完全にオフになることはできないですね。
他の会社の社長の方々と話す機会があってもやはり同じような事をみなさん言われていますね。
孤独を感じると聞いた時には身にしみるように理解できました。
 
たまの休みにビールを飲んだりもしますが、泣いたり、怒ったり(笑)
息子から「お母さんに泣かれるのはつらいから、ビール飲んじゃダメ」と禁止令が出たんです(笑)

--嬉しかった事はどんなこと?

どの業種、職種にも言えることだと思いますが、感謝の言葉を言われた時です。
いつまでにやってほしいと期日が指定された仕事でも、出来るだけ早くやるよう心がけています。「ありがとう」
「助かった」などと言っていただけたときは、とても嬉しいです。

--建設業の女性の活躍に対してはどうですか。girl3

私は代表として対外的な立場でいますが、現場に携わる女性技術者の方々には、家庭的にもまた男女の性差においても大変だったり、辛かったことが必ずあったはず。でもそれを乗り越えてこられていつも凄いなーと思っています。時にはマイナスな思考になってしまっても、自分だけじゃない・・・もう少し頑張ろう・・・とパワーをもらっています。

働くゆえの苦労や葛藤も語って頂きました

会社玄関前にて山本さんと一緒に

お会いするときにはいつも明るく笑顔の山本さんですが、山本組代表、お母さん、お嫁さんといくつもの立場をこなし、なお笑っていられるのには山本さん自身もたくさんの大変な事を乗り越え、強くなってなお、しなやかに歩いてこられたのだろうと改めて思いました。最後にこんな言葉をいただきました。
      
”好きでやることも、そうでないことも、真正面から向き合う事が一番大切”

御主人の死という不幸な出来事によって今の山本さんがあるのですが、それでも懸命に仕事に取り組んでこられた山本さんだからこその言葉だと強く感じました。私たち建設業の中で女性が働くということは決して良い事ばかりではないですが、他の仕事では味わえない充実感もあります。私もまた頑張ろうと山本さんに元気をいただきました。

              インタビュア 有限会社 にしき興業 南方まゆみ