インタビューロゴ

第8回目のインタビューは株式会社相模組 住宅部で営業及び住宅のプランニングを担当されている西澤千奈さんです。
一級建築士を取得し、工務店や大手ハウスメーカーなどに勤務経験のあるベテランプランナーですが、夢や人生のテーマなど色々と語っていただきました。
盛り上がりすぎて1回では収まらないので前後編にてお伝えします。

株式会社相模組の西澤千奈さん


【前編】

--職歴なんですけど、千奈さんってうち(相模組)に入って何年くらいでしたっけ?girl4

11年かな?

--じゃあ一級建築士っていつとったの?

結婚と同時って感じだったよね。大学卒業して2年目に取ったの。

--そんなに早く取ったんだ・・・

その時じゃなきゃとれなかったんじゃないかな?『受験資格ができたよ』ってときで、実家が設計事務所だったから、今年だよね~みたいな。当たり前だよねって感じだった。

--大手ハウスメーカーさんにはどうして?girl5

子供が3人できたんだけど色々あって夫の家を飛び出そうって思ったときに、やっぱり建築でやっていくってことが、子供を育てていく中で経済的に一番いいんだろうなって。
でも大手ハウスメーカーってすごく厳しくて、まだ小さかった子供たちが“みんなで協力するから土日休みのところにして”っていうので、地元(茨城)に土日休みの建設会社が偶然あったのでそこに転職したんです。その会社って、社長と気が合ったっていうか、社長が私に力を注ぎやすかったのか、成績がダントツだったんです。すごく自分の性に合っていたんだけど、3年で辞めてしまいました。

--えーなんで!?

今の主人と結婚するために長野に来ることになったから…
長野では松本にある建設会社に研修期間だけお世話になったあと、とある工務店に入ったけど1年でやめて今の会社の扉を叩いたんです。

--そっかあ。じゃあ大学出てからずーっとこの業界だ。

そうなんです。

住宅構造の説明をする千奈さん

--ところで趣味とかってあるの?以前石窯作ったとかって聞いたことあるけど。

あ~あれね。大谷石があったらすぐできるのにな~なんて考えていて、河原に拾いに行ったりしたけど結構大変で、そしたら偶然会社の資材置場に塀を壊した色んな形のがあって、自分で設計していたのとぴったりだ…と。会社に聞いたらいらないって言うから、速攻持ち帰ってつくったのが第1号。

--第1号ってことは2号が!?girl6

ある講習会で隣に座った人が気の合う造園屋さんでうちのピザ会員(休日などに人を呼んで釜焼きピザなどを楽しむ会のようです)に誘ったら、まっさらな大谷石を1コ千円で譲ってくれて、その石で作ったのが今ある綺麗なやつ。

--じゃあ今でもその石窯でピザ会やってるってこと?

そうそう。でも今の趣味は畑かな?あるきっかけでアクティビティサービスにすごく興味持っちゃって。それって利用者の生きがいや楽しみをサポートすることなんですが、自分も年をとっていくので老後の生きがいや楽しみって何かっていうことを考えるようになって。それは誰かの役に立つとか必要とされるとか、存在の意味とかなんじゃないかな~なんて思って講習に行ったり人を家に呼んだりしたけどなかなか答えが見つからない。どうすればいいんだろうってことが私の人生のテーマになったんです。

でも明科にきたら日曜日に近所の人と話をする機会が結構あることに気が付いて、それって近所の人が畑に出ているからだったんです。そこで大きな荒れ地を偶然借りられそうだと聞いて、≪生きる・食べる≫これは何か見つかるかもしれないと思って速攻借りちゃいました。ボロボロのトラクターを買って耕して。そしたら漬物石みたいなのがたくさん。主人と朝から晩まで石垣ができるくらい石拾いをして。作物を作るために尋ねた人が肥料も農薬も使わない方法で、最初の年はそこそこできたんだけど、2年目は何を植えても育たなくて。本を読んだら、2年~3年はひたすら草を刈ってるだけで何も育たないって書いてありました(笑)

でも違いがよく分かったのはきゅうり。うちの畑はろくすっぽならないのを近所の人はよく見ていて、採れたてを置いてってくれるんです。その場でうちのと何が違うんだろうって主人と食べ比べてみたら、我が家のはえぐみがないの。こんな風に食べることを通じてその人の存在ってものを大事にしたいっていうのが私の夢の一つ。

あと、我が家に孫が来たときに、娘たちが与えている物について、自分は忙しいとか言ってコンビニとかですぐ手に入る安いスティックパンをポンって渡す。そうすると孫たちはそれを食べるけど、大して高いものじゃないって知っているからか残してもそのまま。食べるってことをこんなにずさんにしてるんだって。これは多分子供や自分が大事な存在だよって感じられなくなってるっていうことに繋がっていくんだなーって思って。もっと物の味とか、それが手元に来るまでの事とかを自分はちゃんと教えられる年代かなって思うと、手の届く範囲の人たちだけで構わないからこういった考えとかを伝え残すっていうことが、私の趣味です。

--壮大な趣味ですね~。趣味も含めて今後は?

悩んでいます。仕事のこと、孫のこと、どのウエイトでやっていこうかって。
実は地域活動をしたくて、理想なんだけど、町などが空き家を減らすために家を貸す人の支援をしていて、古民家に人が定着し始めているのでリフォームのアドバイスとかをやっていきたい。

実はリフォームも好きなんです。もともとあるものをどう活かすか。古民家的なものは大好きなので、その良さを残していくとか、新たに導入するにはどんなものがいいかとか。あとは解体してしまうおうちから建具を頂いてきて、それに息を吹き込むみたいなことをやっていけたらなって。年取ったのかな?残すことに対してすごく楽しみみたいな。

--建築屋さんならそうゆう夢もあっていいね。girl3

新しいものとか、いいものがどんどんできてくるけど、古いものは燃やしてしまったらもう終わりなので、それを求める人を守っていきたいって気持ちはあります。

後編につづく・・・

              インタビュアー (株)相模組 倉科里絵