~おばあちゃんが私の手をとって『ありがとう』~

今回は、長野県の会計局契約・検査課で働く市岡恵利子さんにお話をお聞きしました。

長野県の会計局契約・検査課で働く市岡さん

会社名:長野県
お名前:市岡恵利子
所属部署:会計局契約・検査課
建設業での経験年数:35年

建設業に入職したきっかけ

せっかく大学で4年間、建設工学を学んだので、仕事に活かしたいと思い、今の仕事に就きました。
進学の時点では、就職のことはあまり考えておらず、あくまでも学問として建設工学を選択しました。なぜ、建設工学を専攻したかというと、もともと理系が好きで、進学の際に、理学より工学が良いと思い、物理学が得意で特に力学が好きでしたので建設工学を選択しました。結果として、講義も卒業研究も楽しく、選択してよかったと感じました。もちろん仕事も選んでよかったと思っております。

現在の業務内容

現在は、長野県の土木技術職員としての本流から若干外れた(笑)会計局契約・検査課というところで、二つの業務を行っています。一つは、公共調達(県が行う物品の購入契約や建設工事等の請負契約等)の制度設計や運用管理です。もう一つは公共工事等の竣工検査や元請下請け調査等の検査業務を行っています。

県においては、土木技術職員が携わる業務はいわゆる建設行政ですが、実際には多義にわたります。基盤整備の企画・計画、公共事業の計画・設計・事業用地取得・施工、施設の維持管理・運用、他機関との調整等様々な業務、また、インフラ整備とは直接関係しないような業務にも携わることもあります。建設業界で働きたいと考えているみなさん、就職先の一つとしてご検討いただくのに申し分のない環境ですよ。

この仕事で一番うれしかったこと

一番うれしかったこと、いろいろあって難しいですね。
県に入って10年ちょっとの頃ですが、あるバイパス工事の竣工式があって出席しました。地元の方々と工事をお祝いする会でした。転勤直後で前任者が担当した仕事でしたが、地元の方々に非常に喜ばれました。中山間地の事業で、バイパスができて道路事情が良くなったことにより、集落内までバスが来てくれるようになったと、おばあちゃんが私の手を取って「ありがとう」とお礼を言ってくださったのです。(私もまだ若かったので)「なんてすばらしい仕事なんだ」と改めて感動しました。「これからもこの仕事ずっとがんばるぞー」と。

今、不安に思っていること

地球環境でしょうか。建設業は地球環境と非常に密接に関係した職種と言えます。
地球温暖化による異常気象により、毎年毎年、世界各地で豪雨や干ばつが発生しています。日本においてはとりわけ台風や豪雨、そして豪雪による大災害が近年問題になっています。災害が発生するたび、建設業がその対応に追われますが、経営基盤等体力的に厳しい状況の中で、この先どこまで頑張れるのでしょう。国土強靭化のためには、それを支える建設産業界の強靭化がまず必要だと思います。

これからやりたいこと

人生100年時代と言われて、退職後の人生において、第2だけでなく、第3、第4の人生も考えていかなければならない時代だそうです。
私も、もうしばらくすると第2の人生になりますが、まだ、具体的なものはわかりません。これまでの経験が活かせるような方向性が見出せたらいいなと思いますが。第3、第4はどうなるのでしょうか????
現在、NPO法人「女性技術士の会」に所属しておりまして、科学技術発展のための普及啓発事業や、女性技術者の育成等の活動を行っています。長野県における活動メンバーはおりませんが、この活動を核として、長野県の建設業界での女性の活躍を推し進めるような活動に少しでもお力になれたらうれしいなと思っております。

 先日韓国でICT施工に関するプレゼンテーションをされるなど、県職員の枠にとらわれず女性技術者として活躍されている市岡さん。実は、長野県職初の女性土木技術者!もはやレジェンドです。小柄で可愛らしい印象の中に、ご自身の信念にまっすぐな生き方が伝わってきました。

インタビュー担当:株式会社小宮山土木 小宮山 弘子