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第9回目のインタビューは、長野県建設業協会長を務めます、中野土建株式会社 藏谷伸一氏の会社にお邪魔しました。今回の取材では、現在土木部の工事事務を担当している長谷川由香さんにお話しを伺いました。

中野土建株式会社の長谷川由香さん

--仕事への志望動機又はなんでこの仕事に就いたのか教えて!!girl4

【貸与されたパソコンにたまたまAutoCADがインストールされていたのがきっかけ】

何年か東京で働いた後、30歳手前で長野の実家に戻り、鉄道運輸機構(いわば新幹線工事の発注元)の事務所に勤めたのが、土木業界との出会いです。入社当時は、Excel・Word程度のスキルでしたが、たまたま貸与されたパソコンの中に、AutoCADがインストールされていたので、何となく触っているうちに、専門知識はありませんでしたが、操作はできるようになっていました。

鉄道・運輸機構の飯山鉄道建設所が閉所になるまで勤め、その後当時のスキルも買われ、現在勤める中野土建さんに縁あって入社しました。鉄道・運輸機構で働いている間に、土木工事の事務職をしながら、トンネルの貫通の瞬間や、現場の進捗を見ていく中で、土木の仕事は成果が大きく見え、何より、工事関係者の充実感あふれる顔がとても印象的で、純粋にすごい仕事だと思うようになりました。

--女性もスキルを蓄えて、会社の一員として必要な人材になる事ってとっても大切だね。

【自分のできることを一つ一つ増やしていくことが目標】

事務の仕事は、定期的な仕事もあれば、日々こなさなきゃいけない様々な仕事もある中で、一つ一つをコツコツこなして、自分のできることを少しずつ増やしていく事。なんでも一生懸命にやる事で、周囲の人との信頼関係を築いていくことが大切だと思っています。
おかげさまで、私自身いつも職場の方に恵まれていると思います。

--働きやすい職場環境は、もちろん会社の雰囲気にあうあわないもあると思うけど、長谷川さんの人柄も大きいとお話を伺っていて感じますよ!!そんな職場で働く中で、将来や現状抱えている不安なんかあります!?

【土曜日の休みが少ないのと、朝早いのがねー(;´・ω・)】

一番は年齢かなーと。アラフォー世代なので、自分の体力が続くかどうか。
基本、運動はあまりしないので、基礎体力がないところが、とっても不安要素なんです。
以前の職場は、土日休みの9時出社だったので、現在、隔週の土日休みで8時出社が、朝早いなーって思っています。

--何時に起きてるの!?girl5

実家暮らしなんで、正直楽なんだけど、5時半か6時頃起きてるかなー

--えー!!その時間なら私と変わらないじゃん!!私その時間に起きて、7時には会社にいるよー。私がいろんな意味で雑なのか・・・(;´・ω・)(笑)

少しずつは慣れてきたと思うんだけどねー(笑)

--同じ業界内への女性達・これから業界を目指す後輩たちへのメッセージをいただけませんか

【一生懸命取り組んだ経験は財産】

事務だから・・これくらいしかできないとか思わずに、いろんなことにチャレンジした方がいいと思う。
今の職場では、i-con導入に伴い、現場からの要望もあり(3ÐCADの習得など)、ハードルが高く、覚えることがたくさんあって、理解できるかどうか不安ですが、やりがいがある職場で私は恵まれてると思っています。
どんな仕事も一つ一つ大切な仕事で、経験していくことで、経験値がプラスされていくと思うんです。大変な事や、難しい事も、とりあえず一生懸命取り組むことで、自分の財産になります。一生懸命やっていれば、必ず困った時には誰かが助けてくれ、温かい目で見守ってくれます。
会社は役割分担で成り立つ大きなチーム。その一員として必要なポジションを一生懸命こなすことで会社の為になっていると誇りをもってほしいと思います。
たまに怒られることがあっても、期待されているから怒られているんだ・・と思うようにしています。

--とっても前向きで、素敵なメッセージをありがとうございます。
ところで、同僚から見て 長谷川さんってどんな人!?

(一緒に働く土木部の同僚M氏に伺いました)

【空いた時間を上手につかって、自分の仕事をどんどん作る】

【Ⅿ氏】今までいろんな事務員さんと仕事してきたけど、長谷川さんは今までの人とちょっと違う。
自分の仕事をどんどん作っている感じ。気になったことは、納得いくまで聞かないと気が済まないって感じかな・・
とってもしっかりしていて、スケジュール管理もすごく適切。例えば、期限のある提出物も、提出期限が来る前に催促をおこなったりする気配りとか・・・何より、空いた時間を上手に使っている人だなって思う。

【長谷川】基本せっかちなんですよね(笑)今日もらった仕事はその日のうちに片付けないと気が済まないって感じで・・・
でも、できることを増やすことで、自分の存在価値や、やりがいを増やせると思うんです。

--なるほどー!!M氏や、長谷川さんの話を聞いて、貸与されたパソコンにたまたまAutoCADがインストールされていただけなのに、CADのスキルをものにできた長谷川さんの人柄が垣間見れたように思うよ。girl6

藏谷伸一社長に聞きました!!
普段私は、協会長の藏谷さんとお会いする事が多いのですが、今日は社長さんの顔でいろいろお伺いする事ができました。

藏谷社長と長谷川さんと一緒に

--女性社員採用に当たり、不具合に感じることとかありますか?
--そして、女性社員への期待や要望などもあったら聞かせてください。

【人は最高でも75点・自分を客観的に見つめる能力を持つことが大切】
【経営者のやりがいは、社員が長い間、生き生きと働ける組織をつくる事】

【藏谷社長】基本女性だからという観念は全くありませんよ。
男性も女性も一人一人私の大切な社員です。
でも、美味しいお菓子は女性にあげることにしていますが!(笑)
会社は一つの網のようなもの。社員が一丸となって会社を支えているわけだけど、一本の糸が切れれば、その網に大きな穴をあけることになる。
だからこそ、一本一本の糸が自分の働きをすることで、網として有効な機能を果たします。
人は悪魔と天使の囁きを聞きながら行動しています。100点が天使だとすれば、人間は75点が最高点、完全無欠な人間なんて存在しません。
天使の言葉は理性・正義・理想なわけだけど、悪魔のささやきにも耳を傾ける必要があります。
人に説きながら、自分自身にも言い聞かせているんだけど、そうやって完璧を目指すんじゃなく75点を目指せる人材になる事がとても重要な事だと思っています。
それには、挫折も経験しながら、その時置かれた自分を客観的に見つめる能力を持つことが、次へのステップを前向きに踏んでいくことができる強い人材(糸)への成長の近道だと思っています。
だから、会社の網も、いつも完璧でなくても、75%が有効に機能していればよしとしなければ。
それこそが、会社の柔軟性であり、強さにつながる。
そうやって、会社を成長させていく中で、「ある女子社員は2-3年で辞めてしまうんじゃないかと思っていたけれど、気が付いたら10年も勤務していた。」・・というように、長くいてくれる事、そして会社の空気になじんで、生き生きと働いてくれる事が、私は経営者にとって、やりがいだと思っています。

中野土建株式会社の女性社員の皆さんと一緒に

藏谷社長をはじめ、長谷川さん他従業員の方からお話しをお伺いする中で、社員の皆さんが、藏谷社長率いる「中野土建」という組織に属していることに、誇りを持って従事されている事が強く感じられました。
また建設業の現場は男性色の強い業界だけど、長谷川さんが現在されている職域(最近では建設ディレクターという職域にしようと活動が生まれています。)は、今後建設業界の中でも大きな役割を担っていく職域であり、女性の活躍の場として大きな可能性を持っていると改めて感じました。

・建設ディレクター https://www.knowledgebx.com/kensetsu-director

藏谷社長のご配慮で、ちゃっかりお昼に「うな重」をご馳走になっちゃいました!!

藏谷社長、貴重なお時間をいただいた上、ご配慮いただき、本当にありがとうございました。

インタビュアー:(株)長野県建設業協会女性部会長 株式会社塩川組 平澤里枝