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第10回目のインタビューは、株式会社鹿熊組の土木工事部に勤務する松本ゆりさんです。

『おくさまはドボジョ。』

群馬県との県境に位置する上高井郡高山村。
私が高山村に嫁いで十数年。朝出社前に、自分の子どもを保育園に送りに行くと、もう一人同じように作業着を着たママに行き会います。そのママが今回の主人公です。

その人の名は。(株)鹿熊組の土木工事部に勤務する松本ゆりさんです。

じゃじゃーん!たかやま保育園です♪

末っ子のるいかちゃん

最初の出会いは、仕事の仲間というより“ママ友”です。ゆりちゃんの真ん中の子と、うちの真ん中の子が同級生なんです。高山村は一村一校なので、高山村のママたちは子供の行事が同じ日。例えば、今日は小学校の授業参観日っていったら、その日は高山村の小学生のママは皆、小学校の授業参観日になり小学校に集合になるわけです。なので、ゆりちゃんとはなんせよく会うんです。
しかも、一村一校なので、中学校、小学校、保育園の行事は重ならない!
しかも、ゆりちゃんも私も、中学校と小学校と保育園の子がいるんです。

そんな始まりですが十数年前、風の噂で、みるくちゃん(ゆりちゃんの真ん中の子です^^)のママはどうも建設会社に勤めているらしい、と耳にしました。今回は、初めて仕事の話を聞いてみました。

松本さんのプロフィール

両親、夫(鹿熊組)、子(中3、小5、年長)
土木系の専門学校卒業。
大阪の橋梁関係の会社に勤務(10年)。→バリバリの現場管理
長野の生コン会社に勤務(2年)。→コンクリート技士などの資格をゲット
(株)鹿熊組に勤務(H19年~現在)。

--現在のお仕事は?

今は積算業務が中心。人手が足りなくなったら現場代理人として現場に出たり、社内の忙しい現場の書類の手伝いに行ったりもしている。つい先日まで橋梁補修の現場代理人をやってたんだよ。

--なぜ建設業に?

父が建設会社で現場代理人をやっていて建設業は身近なものだった。私は設計とか、特に橋梁に興味があった。橋梁はスケールが大きいし、残るものだから。
で、専門学校を卒業後、大阪の橋梁の会社に入社したのが始まり。橋梁の仕事は楽しかったけど、遠方の現場が多く、結婚後も続けるのは無理。なので地元長野に戻り、それから長野の生コン会社を経て、(株)鹿熊組に入社して今年10年になる。(株)鹿熊組での採用条件がフルタイムで働けること。
その条件を快諾し、子どものことは母に託して、そこからがむしゃらに働いた。

--いつも思います。その頃の時代に、建設会社に女性を採用してくれた会社側がすごいと思う。結婚や育児によるリスクがあるかもしれないのに。でも、だからこそ女性たちはその期待に応えようと頑張るのです。この日は、ゆりちゃんが所属している積算部署の石江課長にもお話を聞くことができました。

奥さん想いの石江課長

積算部署の仲間たち。奥にいるのが浅野さん

--会社の制度はどうですか?

【石江】大手企業のようにガッツリ制度が整っているわけではないが、ある程度の制度はある。交渉次第で、事情に応じて融通を聞かせてくれる。
私も家庭を大事にする方だったので、休みを取って子供の行事にも参加していた。自分の仕事さえちゃんとやってあれば、部下が休みを取ることには反対はしない。
ただ、あの営業の人はいつ行ってもいないな、とか、入札までに積算が終わってない、とか周りに支障が出るようではいけないと思う。

--女性を部下に持ってどうですか?

【石江】私は、男女区別なく一緒に働く仲間としか見ていない。

--でも、産育休や子供の行事やら何やらで部下の休みが多いと困らない?

【石江】松本さんが子供のことで休んだり、現場に出ることになってしばらく不在になっても、私は自分がやれる範囲の仕事をやっているから問題ない。だから松本さんは、自分でできる範囲内で一生懸命仕事をがんばってくれればいい。後はカバーする。

--今後も会社は女性を採用していく?

【石江】会社が求める人と条件が合致すれば採用していくと思う。
会社には女性と若者がいないとダメ。会社にはいろんな人がいた方がいい。女性、若い人、子育て中の人、介護中の人。今よく活躍している女性がメディアでクローズアップされているが、あんな風に完璧じゃなくていい。完璧じゃない方がいい。見本が完璧だと、あんな風にはなれない・・・と思ってしまうからね。いろんなパターンの見本があれば、自分がこの先どうしたらいいのか、育児や介護をやるようになった時、あの人のように制度が使えるんだ、そういう風にすればいいんだ、と先が見える。不安がなくなる。
女性は、結婚しても正社員として働きやすい職場を探した方がいいですよ。私は妻に悪いことをしたと思っている。妻は、結婚前は正社員として働くキャリアウーマンだったのだけど、結婚、引っ越しを機に会社を辞めることになってしまった。結婚後、就職先を探すとき、子育て中ともなるとなかなか正社員として働ける所はない。だから結局今もパート。建設業でも、志さえあれば何とかなるよ!

--なんて理解ある上司!!
でもそれってゆりちゃんが頑張ってるから認めてくれてるんだと思うよ。
やっぱりマジメに一生懸命やっていれば、周りは見ててくれる!


松本さんの1日のタイムスケジュール
5:00  起床
     洗濯、お弁当作り、朝食
8:00  保育園送り
     仕事
17:00 保育園迎え
     夕飯、子の習い事送迎、お風呂
23:00 就寝

--ゆりちゃんの勤務時間は?子供たちはどうしてるの?

今は9:00~16:15の時短勤務にしてもらってる。だから保育園の送迎は自分で行けるの。

--会社の制度が整っているんだね。他にも制度を利用している社員の人はいるの?

現在私も含めて6人女性がいるけど、子育て経験がある人は営業に一人。その人が制度を使って育児休業を取ったり、時短勤務を活用したりしてくれたおかげで私も制度を使いやすかった。

--男性の社員の人で制度を活用した人は?

いない。でも今の若い社員は、子供の入学式とかの行事のために休みを取ったりしている。

--旦那さんはゆりちゃんが働くことどう思ってる?

私が仕事していることが普通だと思っている。理解もあるし協力的。子供の行事なんかも、行けるときは行きたいって言ってるよ。

--私の子供が中学校へ上がった時、また休まなきゃいけない日が増えて、会社にも迷惑かかるし、でも行ってあげなきゃ子供がかわいそうだし、って迷っていた時、ゆりちゃんが「学校の行事にはもちろん参加する!」と言い切った姿がかっこよくて、私はすごく背中を押されたんだ。

3人の子供には平等にやってあげたい。子供の行事には全て参加する!PTAもすごく大事だと思っていて、積極的に参加するようにしている。

--この先、不安なことは?

子供のための制度って、小学校入学までのものが多い。時短勤務も小学校入学までだし。1番下の子が4月に小学校1年生になるから、その制度が使えなくなると、何かあった時困ってしまう。
その上、これから母の介護が始まることになってしまって。子供のこともお願いできないし、介護はいつ終わるのか先が見えない。だからどうなってしまうのか不安でしょうがない。

--育児が落ち着いたら、親の介護・・・。現実は厳しい。でもきっと、ゆりちゃんならやっていける!ガンバレ、ゆりちゃん!!

--これからの夢は?

どんな形であれ、現場を支えていけたらいい、と思っている。現場代理人や監理技術者にならなくてもね。現場の方が好き。『橋梁』は残るもの。昔作った『橋梁』をいつか子供に見せてあげたいな。

--建設業の女性たち、建設業を目指す若者へメッセージを。

この業界もすごく働きやすくなった。これからも改善していって、もっと女性が働きやすい環境を作って、女性が活躍できたらいいな。女性部会インタビュー第1回目の畑八開発(株)の竜野さん、すごいね!ああいう人にならって女性も活躍できるようにがんばろー!!

ゆりちゃんのお隣りは、建築部門のオールマイティーの馬場さん。現場にも出ます!

「何の取材?何の取材?」と保育園の先生に聞かれながら撮ってもらいました。

インタビュアー:川中島建設(株)井浦